FXのスワップポイントとは、2通貨の金利差に応じて、ポジションを翌日以降に持ち越すときに受け取る(または支払う)お金のことです。金利の高い通貨を買えば受け取れる場合が多い一方で、買いでも、金利の低い通貨を買う場合や金利・需給が変わった場合には、マイナス(支払い)になることがあります。
この記事では、スワップポイントの仕組み、ロールオーバーと水曜日の3日分、仮の数値例を使った計算、マイナスになる理由と為替差損のリスク、税金の考え方を順に解説します。FXの全体像から確認したい方は、先にFXとは?海外FXを始める前の基本と注意点もご覧ください。
なお、記事中の数値例はすべて計算を理解するための仮の数字で、実際の金利やスワップポイントとは異なります。FXは証拠金以上の損失が生じうる取引で、元本も利益も保証されません。金利や制度の情報は2026年10月時点で確認できた範囲のものです。
FXのスワップポイントとは?結論は「金利差に応じた受け払い」

スワップポイントは、通貨ペアを構成する2つの通貨の金利差を反映した、持ち越し時の受け払いです。FXは金利の異なる2つの通貨を売買する取引なので、持ち越すあいだ、買った通貨の金利を受け取り、売った通貨の金利を支払う形になります。その差額がスワップポイントです。
スワップポイントを一言でいうと
一言でいえば「ポジションを持ち越した日数ぶんの金利の差額」です。受け取る側になればプラス、支払う側になればマイナスで、マイナスは建玉を保有し続けるコストになります。金融先物取引業協会の解説でも、金利は変動するためスワップポイントも日々変わると説明されています。
注意したいのは、当日中に決済するデイトレードでは、基本的にスワップポイントは発生しない点です。後述するロールオーバー(日をまたぐ持ち越しの処理)をまたがないためです。
先に押さえたい3つの結論
最初に、この記事の要点を3つにまとめます。
- 買いでもマイナスになりうる。 スワップポイントは、買いでも支払いになることがある。
- 金額は業者や日によって変わる。 取引前に最新の条件を確認する必要がある。
- 為替差損とセットで考える。 受け取ったスワップ以上に損をすることがある。
特に3つ目は、スワップ目的の取引でよく見落とされるポイントです。詳しくは後半の節で、仮の数値を使って確認します。
金利差が受け払いになる仕組み

仕組みの基本は「買った通貨の金利を受け取り、売った通貨の金利を支払う」ことです。金融先物取引業協会は、次のような例で説明しています(協会の例示であり、実際の金利ではありません)。円の金利が1%、米ドルの金利が5%だとします。このとき米ドル/円を買い建てると、差の4%分を受け取れます。反対に売り建てると、同じ4%分を支払うことになります。
買いと売りで受け払いが逆になる
同じ通貨ペアでも、買いと売りで受け払いの向きが逆になります。金利の高い通貨を買えば受け取る側、売れば支払う側です。金利の低い通貨を買って高い通貨を売る場合は、その逆になります。
| ポジション | 金利の高い通貨 | 金利の低い通貨 |
|---|---|---|
| 買い建て | 金利を受け取る(スワップはプラスの方向) | 金利を支払う(スワップはマイナスの方向) |
| 売り建て | 金利を支払う(スワップはマイナスの方向) | 金利を受け取る(スワップはプラスの方向) |
この表は金利差だけを見た理屈上の方向で、実際の符号と金額は業者が提示する値で決まります。
政策金利の差とスワップが一致しない理由
では、実際の金利差はどのくらいでしょうか。2026年10月時点で確認できた直近の決定は、次のとおりです。
- 日本銀行は2026年9月18日の金融政策決定会合で、無担保コールレート(オーバーナイト物)の誘導目標を1.25%程度に変更しました。
- 9月24日から適用で、7月31日会合までは1.0%程度でした。
- 米国のFOMCは2026年9月16日に、政策金利(フェデラルファンド金利の誘導目標レンジ)を0.25ポイント引き上げ、3.75〜4.00%としました。
上限どうしで比べた政策金利の差は約2.75ポイントです。ただし、これは目安の水準差にすぎません。その後の会合で金利が変わっている可能性もあります。
実際のスワップポイントは、この差とは一致しません。業者によって提示する値が異なるうえ、新興国通貨などでは市場の需給の影響で金利差がそのまま反映されないこともあるためです。協会の解説でも、同じ通貨ペアでも業者によって異なること、新興国通貨ではインターバンク市場の需給などの影響で金利差が反映されない場合があることが示されています。
- 政策金利の差から、スワップの金額を直接計算することはできない。
- 実際の金額は、取引する業者が提示する値で確認する。
ロールオーバーと水曜日の3日分付与

スワップポイントは、ロールオーバーという処理のときに発生します。ここでは、その時刻と、水曜日に日数が増える理由を確認します。
ロールオーバーの時刻と「持ち越し」の意味
ロールオーバーは、建玉(保有中のポジション)を翌日以降に繰り越す処理です。金融先物取引業協会によると、通常はニューヨーク市場のクローズ時点(米国のサマータイム時は日本時間の午前6時)の前後に行われます。この時刻をまたいで保有しているポジションが、持ち越しとして扱われます。
スワップポイントをいつ付与するか(日々付与するのか、決済時にまとめて付与するのか)は、業者によって異なります。取引説明書などで確認しておきましょう。
なぜ水曜日が3日分になるのか
FXの取引は、原則として約定の2営業日後に受渡し(決済)が行われ、ロールオーバーでは受渡日が繰り延べられます。受渡日が何日先に延びるかで、付与される日数が決まります。
水曜から木曜への持ち越しでは、受渡日が週末をまたいで翌週の月曜になる業者があります。この場合は週末ぶんを含む3日分が反映されると説明されます。
ただし、これはすべての業者に共通のルールとは限りません。付与される曜日や時刻、夏時間・冬時間の扱いは、業者や通貨ペアによって異なります。祝日で日数が変わることもあるため、正確な日数は、利用する業者の取引説明書やスワップカレンダーで確認してください。
マイナススワップのポジションを持っている場合も、増えた日数ぶんの支払いが発生します。水曜をまたぐと、マイナスも3日分に増える業者が多いと説明されています。実際の日数は業者のスワップカレンダーで確認してください。
仮の数値例でスワップポイントを計算してみる

ここでは、スワップポイントがどう積み上がるかを、仮の数字で計算します。特定の業者や通貨ペアの実際の値ではありません。
計算の手順
多くの業者は、スワップポイントを「1万通貨あたり、1日あたりの金額(円)」で提示しています。受け払いの額は、次の手順で見積もれます。
- 業者が提示する、1日あたりのスワップポイント(1万通貨あたり)を確認する。
- 取引数量を「1万通貨の何倍か」に直す(2万通貨なら2倍)。
- 持ち越した日数(水曜をまたぐ場合に3日分とする業者では、3日分として数える)を数える。
- 「1日あたりのスワップ × 取引数量の倍率 × 日数」で合計する。
提示のしかたは業者で異なることがあるため、単位(1万通貨あたりか、1ロットあたりか)も確認してください。提示が円以外の通貨建ての場合は、円に換算してから合計します。
買いの場合と売りの場合
次の仮定で考えます。米ドル/円で、買いのスワップが1万通貨あたり1日5円、売りのスワップが1万通貨あたり1日マイナス8円とします。取引数量は2万通貨、月曜から金曜にかけて4回持ち越し、持ち越し日数は、水曜を3日分と仮定して「1日+1日+3日(水曜)+1日」の計6日分とします。
| 項目 | 買い(仮) | 売り(仮) |
|---|---|---|
| 1日あたり(1万通貨) | +5円 | −8円 |
| 数量の倍率 | 2 | 2 |
| 日数 | 6日分 | 6日分 |
| 合計 | +60円(5円×2×6) | −96円(8円×2×6) |
買いは受け取り、売りは支払いになっています。売りのほうの絶対値を大きくしたのは、受取と支払いの額が対称とは限らないことを示すための仮の設定です。
水曜日をまたぐ場合の計算
水曜日だけを取り出して計算してみます。買いのポジション1万通貨を水曜から木曜に持ち越すと、仮の数値では「5円×1×3日」で15円です。同じポジションの月曜から火曜への持ち越しは5円なので、水曜は3倍になります。
売りのポジション1万通貨なら、「−8円×1×3日」で−24円です。マイナスのポジションを持つ場合は、水曜の持ち越しで支払いが3日分まとまって発生します。
買いでもマイナスになる理由と、為替差損のリスク

スワップポイントの符号は、「ポジションの向き」と「2通貨の金利の高低」で決まります。ここでは、買いでもマイナスになるケースと、為替差損のリスクを見ていきます。
マイナススワップになるのはどんなとき
買いでもマイナスになるケースは、主に次の3つです。
- 金利の低い通貨を買っている場合。
- 金利の高い通貨を買っていても、業者や市場の状況によって、受取が金利差ぶんより小さくなる、またはマイナスになる場合。
- 金利や需給が変わって、受取が支払いに転じた場合。
金融庁も、FXのリスクとして「スワップポイントの変動(受取が支払に転じうる)」を挙げています。今日プラスだから明日もプラス、とは限りません。
スワップ収入より為替差損が大きくなる例(仮の数字)
次に、「高金利通貨を買えば得」とは限らない例を、仮の数字で示します。買いのスワップが1万通貨あたり1日5円、為替の変動が下表のとおりだったとします。
| 項目 | 仮の数値 |
|---|---|
| ポジション | 米ドル/円を1万通貨、買い |
| 1日あたりのスワップ | +5円 |
| 付与日数 | 30日分(スワップは合計+150円。水曜の3日分を含めて数えた仮の値) |
| 為替の変動 | 1.5円の円高(−1.5円) |
| 為替差損 | −15,000円(1万通貨×1.5円) |
| 合計 | 約−14,850円 |
為替が1円動くと、1万通貨で1万円の損益が出ます。この例では、わずか0.1円の円高で−1,000円になり、1日5円のスワップの約200日分に相当します。もちろん、逆に円安になれば為替差益が出ます。ただし、値動きの幅がスワップ収入を大きく上回りうる以上、スワップだけを見て判断するのは危険です。
このため、スワップだけを目的に取引して生活費をまかなう、という考え方は現実的ではありません。外貨預金と違い、FXは証拠金を預けて取引する仕組みで、レバレッジをかけるぶん、損失も大きくなりえます。
持ち越しとレバレッジ・ロスカットの関係
個人の店頭FXでは、2011年8月以降、必要証拠金率は取引額の4%以上(レバレッジ上限25倍)と定められています(金融先物取引業協会、2026年10月時点で確認)。証拠金に評価損益を加減した「実預託額」には、スワップポイントの評価損益も含まれます。実預託額が必要証拠金を下回ると、追加の入金か決済が必要になります。ロスカット(強制決済)の水準は業者が定めるため、利用する業者の取引説明書で確認しましょう。
持ち越しが長くなるほど、値動きの影響を受ける期間も長くなります。証拠金に余裕を持たせる考え方は、FX証拠金維持率の計算方法|ロスカットの仕組みを数値例で解説で数値例とともに解説しています。
スワップポイントにかかる税金の考え方

スワップポイントの税金は、為替差損益とあわせて考えるのが一般的です。ただし、スワップそのものの扱いについては、国税庁のページに明記がありません。この点を分けて整理します。
為替差損益と合算されるのが一般的(ただし国税庁ページに明記なし)
国税庁のタックスアンサー(No.1521 外国為替証拠金取引(FX)の課税関係)は、FXの差金等決済による差益について、次のように説明しています(令和8年4月1日現在の法令等)。
- 第一種金融商品取引業者や登録金融機関を相手方とする取引の差益は、「先物取引に係る雑所得等」として、他の所得と区分して申告分離課税の対象になる。
- 税率は所得税15%、地方税5%。このほか復興特別所得税(基準所得税額の2.1%)がかかる。
- 令和9年1月1日以後に生ずる所得については、復興特別所得税が1.1%に下がり、防衛特別所得税が併せて源泉徴収される旨の記載がある。
- 上記に該当しない取引の差益は、一般に雑所得として総合課税(超過累進税率)になる。
一方で、国税庁のNo.1521とNo.1522のページには、「スワップ」という語は出てきません(2026年10月時点で確認)。スワップの受取分を為替差損益と合計して「先物取引に係る雑所得等」として計算する扱いは、業者が公表している税務の説明に基づく一般的な取扱いです。この記事では断定せず、実際の扱いは、利用する業者の資料・税務署・税理士に確認してください。
この記事は、金融庁に登録された国内の業者を利用する場合の一般論です。海外の業者を利用した場合の課税関係には触れません。国内FXと海外FXの違いについては、海外FXとは何か 国内FXとの違いと注意点をご覧ください。
損失の繰越控除と確定申告
国税庁のNo.1523 先物取引の差金等決済に係る損失の繰越控除によると、先物取引に係る雑所得等の損失は、確定申告書に所定の明細書を添付して提出することで、翌年以後3年間繰り越せます(令和8年4月1日現在の法令等)。要点は次の3つです。
- 繰り越せる期間は、翌年以後3年間。
- 控除できる上限は、繰越先の年分の先物取引に係る雑所得等の金額。
- 損失が出た年も申告が必要で、その後も連続して申告書を提出する。
他の所得との損益通算の可否や、申告の要否は、個人の状況によって変わります。詳細は国税庁のタックスアンサーで確認するか、税務署や税理士にご相談ください。税制は改正されることがあるため、申告の前に最新の情報を確認してください。
取引を始める前の確認事項と参考資料
最後に、取引を始める前に確認したいことと、一次情報へのリンクをまとめます。
始める前のチェックリスト
業者を選ぶ前に、次の項目を確認しましょう。
- 金融庁の「金融事業者一括検索」などで、日本の金融商品取引業の登録があるか確認する。海外の免許は、日本居住者向けの営業の代わりにはなりません。
- 取引説明書で、スワップポイントの付与のタイミング、曜日、時刻(夏時間・冬時間を含む)を確認する。
- スワップは日々変わるため、最新の提示値を見る。買いでもマイナスになる可能性を想定しておく。
- 為替差損がスワップ収入を上回る可能性と、証拠金の余力、ロスカット水準を確認する。
- 税金の扱いを、利用する業者の資料や税務署・税理士で確認する。
金融庁は、FXでは無登録業者が関与する詐欺が多いと注意を呼びかけています。登録業者の名を騙る例もあるため、連絡先や登録番号は金融庁の公式サイトなどで照合してください。
参考資料(一次情報)
- FX取引の概要 スワップポイントについて(金融先物取引業協会)
- 個人顧客を相手方とするFX取引に係る証拠金規制(金融先物取引業協会)
- いわゆる外国為替証拠金取引について(金融庁、令和2年2月更新)
- 詐欺的な投資勧誘等にご注意ください!(金融庁)
- No.1521 外国為替証拠金取引(FX)の課税関係(国税庁)
- 金融市場調節方針の変更について 2026年9月18日(日本銀行)
- FOMC Statement September 16, 2026(FRB)
本記事の要点
スワップポイントは、金利差に応じた持ち越し時の受け払いで、買いでもマイナスになりえます。ロールオーバーや水曜の3日分の扱いは業者によって異なるため、取引説明書で確認してください。為替差損がスワップ収入を上回ることがあり、利益は保証されません。税金の扱いは、国税庁のページと、業者の資料・税務署・税理士で確認しましょう。


