FX注文方法の基本は、成行・指値・逆指値の3つです。違いは「価格を指定するかどうか」と「指定する価格が今より有利か不利か」の2点で整理できます。この2点が分かれば、OCO・IFD・IFOといった組み合わせ注文も、基本の3つを並べ替えたものだと見えてきます。
初心者がつまずきやすい点として、「損切りはどの注文で入れるのか」「逆指値を入れたのに、思ったより大きな損が出た」という疑問があります。この記事では、3つの注文の違い、逆指値で損失を限定する使い方とその限界、損切り注文とロスカットの違い、組み合わせ注文の使いどころ、注文前の確認項目を順に説明します。
なお、FXは相場が急変すると預けた証拠金を上回る損失が出る可能性がある取引です。注文の仕様も事業者ごとに異なります。この記事は、国内の事業者の公開ルールにみられる説明をもとにした考え方として読み、実際の取引では利用する事業者のヘルプで必ず確認してください。情報は2026年10月時点のものです。
FX注文方法は基本の3つ|成行・指値・逆指値の違い

最初に結論です。成行は価格を指定せず、指値と逆指値は価格を指定して待つ注文です。まずこの3つを押さえれば十分で、OCO・IFD・IFOは後から学んでも遅くありません。
| 注文 | 価格の指定 | 約定するタイミング | 向いている場面 |
|---|---|---|---|
| 成行 | しない | 約定処理の時点の価格で(事業者による) | 今の価格で取引したいとき |
| 指値 | する(今より有利な価格) | 配信価格が指定価格に達したとき | 有利な価格まで待ちたいとき |
| 逆指値 | する(今より不利な価格) | 指定価格に達して発動したあと | 損失を限定したいとき |
成行注文(価格を指定しない)
成行注文は、価格を指定せずに「今の価格で取引する」注文です。国内事業者の公開ルールでは、約定処理の時点の価格で約定すると説明されています。
注意したいのは、画面に表示されていた価格と約定価格が一致するとは限らない点です。発注から約定処理までの間に価格が動けば、表示価格より有利になることも不利になることもあります。
指値注文と逆指値注文(価格を指定して待つ)
指値注文と逆指値注文は、どちらも価格を指定して待つ注文です。画面を見続けなくても、指定した価格に達したときに動く点が成行との大きな違いです。
指値は、現在より有利な価格を指定し、配信価格がその価格に達すると約定する注文です。逆指値は、現在より不利な価格を指定し、その価格に達すると発動する注文です。なぜ不利な価格で注文するのかは、損切りの節で説明します。
価格の向きで整理|指値は有利な価格、逆指値は不利な価格を指定する

指値と逆指値を覚えるコツは、「有利な価格を指定すれば指値、不利な価格を指定すれば逆指値」と考えることです。混乱しやすいのは、買いと売りで価格の上下が逆になるためです。以下の数値は説明のための仮の数値で、実際の相場や取引の目安ではありません。現在の価格を150.00円(ドル円)と仮定します。
買いの場合の数値例
買いは、安く買えるほど有利です。
- 買いの指値: 現在より低い149.50円を指定。価格が149.50円まで下がれば買う
- 買いの逆指値: 現在より高い150.50円を指定。価格が150.50円まで上がると発動して買う
売りの場合の数値例
売りは、高く売れるほど有利です。向きが買いと逆になります。
- 売りの指値: 現在より高い150.50円を指定。価格が150.50円まで上がれば売る
- 売りの逆指値: 現在より低い149.50円を指定。価格が149.50円まで下がると発動して売る
同じ149.50円でも、買いなら指値、売りなら逆指値です。注文画面では「買い・売り」と「現在値との位置関係」を確認してから送信する習慣をつけると、入力ミスを減らせます。
損切りは逆指値で入れる?損失を限定する使い方

保有している建玉に対して、不利な方向の価格に逆指値の決済注文を置くのが、損切り注文の基本形です。逆指値は一般に損失の限定や利益の確定に使われると説明されています。
逆指値を損切りに使う流れ(新規→逆指値決済)
仮の数値例です。150.00円で1万通貨を買い、149.50円に売りの逆指値(決済)を置いたとします。
- 150.00円で買い注文が約定する
- 149.50円に決済の逆指値を置く
- 価格が下がって149.50円に達すると、逆指値が発動する
- 決済され、1通貨あたり0.50円、1万通貨なら約5,000円の損失で終わる(スプレッドなどは考えない単純な計算)
設定の流れは、決済注文の執行条件として逆指値を選び、価格を入力するのが基本です。画面や名称は事業者により異なるため、利用する事業者のヘルプで確認してください。この幅は説明用で、損切り幅の目安ではありません。どこに置くかは資金量や取引の考え方で変わり、一つの正解があるわけではありません。
逆指値の利点は、画面を見ていない間でも発動することです。ただし「決めた損失額で必ず止まる」とは限りません。その理由は次の節で説明します。
逆指値を入れない場合に起きること
逆指値を入れずに保有を続けると、価格が不利な方向に動き続けたとき、損失がそのまま広がります。自分で決済するつもりでも、画面を見られない時間に相場が動くことはあります。
損失が大きくなると、事業者が自動で決済するロスカットの水準に近づきます。ロスカットは損切り注文とは別の仕組みで、後の節で整理します。損失を限定したいなら、取引の前に「どこで、どの注文で終わらせるか」を決めておくことが大切です。
逆指値でも指定価格で約定しない|スリッページと相場急変

逆指値は「指定価格で必ず決済される注文」ではありません。ここは初心者が最も誤解しやすい点です。
指定価格と約定価格がずれる理由
注文価格と約定価格のずれは、一般に「スリッページ」と呼ばれます。逆指値は、指定した価格に達すると発動する注文です。事業者の公開ルールには、発動後はその時点の配信価格で約定するため、指定価格と異なる価格になることがあると説明するものがあります。
相場が急変したときは、指定した価格を飛び越えて価格が動くことがあります。先ほどの例で149.50円に逆指値を置いていても、価格が一気に149.20円まで動けば、その付近で約定する可能性があります。仮に149.20円なら、1通貨あたりの損失は0.80円、1万通貨で約8,000円です。想定した約5,000円より大きくなります。
金融先物取引業協会は、相場急変時には市場の実勢価格とかけ離れたレートで約定される可能性があると説明しています。通信機器や回線の障害などで、取引ができない、または処理が遅れることがあるとも説明しています(FX取引に係る主なリスク、協会、2026年10月時点の閲覧内容)。
金融庁も、相場の急変時に決済や取引が困難になることがあるとしています(いわゆる外国為替証拠金取引について、2020年2月21日更新のページ)。
こうしたずれは、相場が急変して価格が大きく動く場面で起こりやすいと考えられます。
スリッページ許容幅という考え方(事業者による)
スリッページへの備えとして、「許容幅」を指定できる注文を用意している事業者があります。許容幅を超えて不利な価格に動いた場合は、約定せず失効する仕組みです。
次は仮の例です。ドル円で、許容幅を1pips(0.01円)、発注価格を150.000とした買い注文を考えます。
| 約定しうる価格 | 結果 |
|---|---|
| 150.006 | 許容幅の範囲内なので、150.006で約定 |
| 150.012 | 許容幅を超えるので、失効 |
| 149.994 | 有利な方向なので、149.994で約定 |
許容幅を小さくすれば不利な価格での約定は避けやすくなりますが、そのぶん失効しやすくなります。「滑らない代わりに、約定しないことがある」というトレードオフです。
ただし、許容幅を設定できるかは事業者や注文方式で異なります。指値・逆指値の待機注文ではスリッページの設定ができず、上限もないと説明する事業者もあります。自分が使う注文でどうなるかを、事前にヘルプで確認しましょう。
損切り注文とロスカットは別の仕組み|注文を入れても損失は限定されない場合がある

損切り注文とロスカットは名前が似ていますが、別の仕組みです。「逆指値を入れたからロスカットは関係ない」「ロスカットがあるから損切り注文はいらない」のどちらも誤解です。
損切り注文とロスカットの違い(誰が・いつ・何のために)
| 項目 | 損切り注文(逆指値など) | ロスカット |
|---|---|---|
| 誰が | 自分が注文を入れる | 事業者が自動で行う |
| いつ | 自分で決めた価格に達したとき | 損失が事業者の定める水準に達したとき |
| 目的 | 自分の想定する損失で取引を終える | 損失の拡大を防ぐ |
ロスカットは、個人顧客と取引するすべてのFX取扱業者に、ルールの整備と遵守が義務付けられた仕組みです。義務化は2010年2月1日からです(協会「FX取引の規制について」)。発動の水準は各社で異なり、契約締結前に交付される書面などに記載されています(協会「ロスカット取引について」、2026年10月時点の閲覧内容)。
計算方法や証拠金維持率の見方は、既存の記事「FXの証拠金維持率とロスカットの計算」で説明しています。ここでは、損切り注文とは別にもう一段の仕組みがあることを押さえておけば十分です。
注文を入れても損失が限定されない場面
損切り注文もロスカットも損失を抑える仕組みですが、万能ではありません。協会は、ロスカットは判定と実行のタイミングがずれるため、約定レートが発動水準と異なり想定より損失が大きくなる場合があるとし、「いかなる場合にも一定の損失額に限定されるものではありません」と説明しています。
急激な為替変動やスプレッドの拡大で、証拠金以上の損失が生じることもあります。協会は、年末年始など流動性が著しく低下しているときには、短時間で価格が急変し、ロスカットが十分に機能せず証拠金以上の損失になることがあるとも説明しています(FX取引に係る主なリスク)。
なお、個人の店頭FXの証拠金は取引金額の4%以上、レバレッジは最大25倍と、金融庁(2020年2月21日更新のページ)と協会(FX取引に係る主なリスク、FX取引の規制について)が案内しています(2026年10月時点の閲覧内容)。
レバレッジが高いほど、小さな価格変動でも損益が大きく動きます。実効レバレッジの考え方は「FXのレバレッジ規制25倍」も参考にしてください。
損失を抑える手段は複数ありますが、どれも損失の上限を保証するものではありません。この前提で、投入する資金や取引量を考える必要があります。
OCO・IFD・IFO の使いどころ|組み合わせ注文の仕組み

OCO・IFD・IFOは、基本の注文を組み合わせた注文です。損失を限定する使い方に絞って説明します。初心者には必須ではなく、まず3つの基本を理解してからで十分です。
OCO(どちらか一方が約定したら他方を取消)
OCOは、指値と逆指値をセットで発注する注文です。どちらか一方が約定すると、もう一方は自動的に取り消されます。
たとえば、150.00円で買って保有しているとき、151.00円に売りの指値(利益を確定したい価格)、149.50円に売りの逆指値(損切りの価格)を同時に置きます。どちらかが約定すれば他方は取り消されるので、両方が約定する事態を避けやすくなります。数値は仮の例で、利益を期待させるものではありません。
IFD と IFO(新規注文と決済注文をセットにする)
IFDは、1次注文(新規)が約定したら、2次注文(決済)が有効になる注文です。新規注文と同時に、決済の予約ができます。
IFOは、IFDの2次注文をOCOにした注文と説明されることが多いです。新規注文が約定すると、決済側に利益確定の指値と損切りの逆指値がセットされます。新規と同時に損切りを予約できるため、損失を限定したい人には使いやすい形です。なお、IFO(IFDOCOと呼ぶ事業者もある)のように、名称は事業者によって異なります。名称と仕様は、利用する事業者のヘルプで確かめてください。
組み合わせ注文には、次の注意点があります。
- 1次注文が約定しなければ、2次注文は有効になりません
- 事業者によっては、決済優先の設定などによって、反対の建玉を決済せず両建てになる場合があります
- 2次注文の逆指値にも、スリッページや急変による約定価格のずれは起こりえます
仕組みを理解せずに使うと、意図しない建玉ができることもあります。デモ口座などで動きを確認してから使うのが安心です。
有効期限と注文前の確認チェックリスト|仕様は事業者ごとに違う

指値や逆指値は、指定した価格に達しないまま有効期限が切れると約定しません。逆に、期限の長い注文を入れっぱなしにすると、忘れたころに思わぬ価格で発動することもあります。
有効期限の違い(当日・週末・無期限)
有効期限の選択肢は事業者によって異なります。当日限り・週末まで・無期限・日時指定といった選択肢を用意する事業者もあれば、「本日中」「今週中」「期限なし」などの名称の事業者もあります。
無期限にして放置すると、相場の状況が変わり、当初の想定に合わない注文になってしまうことがあります。持ち越しの建玉にかかるスワップポイントは「FXのスワップポイントとは」で説明しています。
証拠金が足りないなどの理由で、指値が約定しない場合もあります。協会も、注文入力のミスで意図しない注文が約定したり、意図した注文が約定しなかったりすることがあると注意しています。注文後は注文一覧で状態を確認しましょう。
注文前に確認したい6項目
デモ口座や少額の取引で操作しながら、次の6項目を利用する事業者のヘルプで調べておきましょう。
- 有効期限の種類(当日・週末・無期限など)と、初期設定がどれか
- スリッページ許容幅を設定できるか、設定できる注文はどれか
- 逆指値が発動したあと、どのように約定するか(執行方式)
- OCO・IFD・IFOの名称と、それぞれの対応関係
- ロスカットの水準と、発動の仕組み
- スマートフォンのアプリでの注文操作(買い・売りの向き、期限の選択画面)
一度にすべて覚える必要はありません。画面で操作しながら、1つずつ確かめるとよいでしょう。
取引前に確認したいこと|登録業者と参考資料
注文の仕組みを理解したら、取引する事業者そのものの確認も欠かせません。日本に住んでいる人にFX取引を行う業者には、金融商品取引法にもとづく登録が必要です。海外のライセンスがあっても、日本での登録がなければ行えません。金融庁は、無登録の業者と取引した場合、トラブルが起きても業者への追及は極めて困難だと注意しています(いわゆる外国為替証拠金取引について、2020年2月21日更新のページ)。
確認には、次の金融庁のページを使います。
- 免許・許可・登録等を受けている事業者一覧: 登録業者の一覧です。2026年10月時点で、金融商品取引業者の一覧は2026年8月31日現在とされ、名称などから探せる検索機能も案内されています
- 無登録で金融商品取引業を行う者の名称等について: 警告書を出した者の一覧で、2026年9月25日更新です
警告一覧に載っていなくても、無登録で営業している可能性はあります。一覧は警告書を出した時点の情報で、現在の状況を示すとは限らないと説明されています。登録の有無は、登録業者の一覧のほうで必ず確かめましょう。
SNSで知り合った人や知人からの紹介、「自動売買ソフトで儲かる」といった誘いにも注意が必要です。金融庁は、こうした誘いが無登録の違法業者や詐欺につながり、出金できないなどの被害が出ていると注意しています(「FX取引・暗号資産投資の勧誘」にご注意!!、2023年4月4日公開)。
口座開設前の資金保全の確認は「FXの信託保全とは」も参考になります。
リスクの一次情報と相談先は次のとおりです。連絡先や受付時間は変わりうるため、各公式ページで確認してください(2026年10月時点)。
- FX取引を行おうとする個人投資家の皆さまへ(協会): 仕組みとリスクを理解し、自分の資力・経験・目的に合う場合にだけ取引するよう案内されています
- 金融庁の金融サービス利用者相談室(個別のあっせんは行わない窓口。案内は金融庁のページ)
- 金融先物取引業協会の相談窓口(加入業者とのトラブルが対象。案内は協会のページ)
- 証券・金融商品あっせん相談センター、国民生活センター・消費生活センター
まとめ。 FX注文方法の基本は、成行・指値・逆指値の3つです。指値は有利な価格、逆指値は不利な価格を指定します。逆指値は損失を限定する助けになりますが、スリッページや相場急変で指定価格どおりに約定しない場合があります。ロスカットは損切り注文とは別の仕組みで、いずれも損失の上限を保証するものではありません。
次の行動としては、デモ口座や少額で注文画面を試し、有効期限、スリッページ許容幅の設定、OCO・IFD・IFOの名称を、利用する事業者のヘルプで確認してみてください。投資は自己判断で、リスクを理解したうえで行いましょう。

